【2026年最新】キャリアアップ助成金とは?正社員化コースを中心にわかりやすく解説
「パートさんを正社員にしたいが、人件費の負担が心配」という経営者の方は多いのではないでしょうか。キャリアアップ助成金は、非正規の従業員の正社員化や待遇改善に取り組む会社を国が支援する制度です。この記事では、いちばん利用が多い「正社員化コース」を中心に、仕組み・支給額・申請の流れをやさしく解説します。
キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金とは、厚生労働省が実施している雇用関係の助成金です。契約社員・パート・アルバイト・派遣社員といった、いわゆる非正規雇用の従業員について、正社員への転換や賃金の引き上げなどの「キャリアアップ」に取り組んだ事業主に対して、国がお金を支給します。
補助金と違って、要件を満たして正しく手続きすれば受給につながりやすいのが助成金の特徴です。また、多くの補助金のような「公募期間」が基本的になく、要件を満たす取り組みを行えば年間を通じて申請できます。受け取ったお金は返済不要で、使い道も原則自由です。
- 実施機関:厚生労働省(窓口は都道府県労働局・ハローワーク)
- 対象:雇用保険に加入している事業主(中小企業・個人事業主も対象)
- 目的:非正規の従業員の正社員化・処遇改善の後押し
- 返済:不要(要件を満たした取り組みへの支給)
正社員化コースの仕組みと支給額
キャリアアップ助成金にはいくつかのコースがありますが、もっとも利用が多いのが「正社員化コース」です。有期雇用(契約社員・パートなど)や無期雇用の従業員を正社員に転換し、賃金を引き上げた場合に助成金が支給されます。
支給額は、転換前の雇用形態と、転換する従業員が「重点支援対象者」に当たるかどうかで変わります。2026年7月時点の中小企業向けの支給額の目安は次のとおりです(最新の金額は必ず厚生労働省の公式サイトでご確認ください)。
| 転換のパターン | 重点支援対象者 | それ以外の対象者 |
|---|---|---|
| 有期雇用 → 正社員 | 80万円(40万円×2期) | 40万円(1期のみ) |
| 無期雇用 → 正社員 | 40万円 | 20万円 |
「重点支援対象者」とは、雇用されてから通算3年以上の有期雇用労働者や、正社員としての就業経験が少ない方、派遣労働者、母子家庭の母などが該当します。該当するかどうかで支給額が大きく変わるため、対象者の経歴の確認が重要です。
このほか、令和8年度(2026年度)には、職場の情報をインターネット上で公表した場合の「情報公表加算」(中小企業は1事業所あたり20万円)が新設されるなど、加算措置も用意されています(2026年7月時点)。加算の要件は細かいため、公式の支給要領で確認しましょう。
受給までの流れと主な要件
正社員化コースでとくに大切なのは、「正社員に転換する前に」キャリアアップ計画を作って労働局に提出しておくことです。転換した後から計画を出しても対象にならないため、順番を間違えないようにしましょう。大まかな流れは次のとおりです。
- 1. キャリアアップ計画を作成し、管轄の労働局に提出する
- 2. 就業規則に正社員転換のルール(転換制度)を定める
- 3. 対象の従業員を正社員に転換し、賃金を引き上げる
- 4. 転換後6か月分の賃金を支払う
- 5. 6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に支給申請する
賃金については、転換前6か月と転換後6か月の賃金を比べて3%以上増えていることが要件とされています(2026年7月時点)。また、転換前に6か月以上雇用していることや、会社が労働関係の法令を守っていることなども確認されます。要件の詳細は年度によって見直されるため、最新の支給要領を必ず確認してください。
正社員化コース以外のコース
キャリアアップ助成金には、正社員化以外にも非正規の従業員の待遇を良くする取り組みを支援するコースがあります。2026年7月時点では、主に次のようなコースが設けられています。
| コース名 | どんな取り組みが対象か |
|---|---|
| 正社員化コース | 有期・無期雇用の従業員を正社員に転換する |
| 障害者正社員化コース | 障害のある従業員を正社員などに転換する |
| 賃金規定等改定コース | 非正規の従業員の基本給の賃金規定を増額改定する |
| 賃金規定等共通化コース | 正社員と共通の賃金規定を新たに作る |
| 賞与・退職金制度導入コース | 非正規の従業員に賞与や退職金制度を新設する |
| 短時間労働者労働時間延長支援コース | パートの労働時間を延ばし社会保険に加入させる |
「いきなり正社員化はハードルが高い」という場合でも、賃金規定の改定や賞与制度の導入など、段階的な処遇改善から始められるのがこの助成金の使いやすいところです。
申請でつまずきやすいポイント
キャリアアップ助成金は使いやすい制度ですが、手続きの順番や書類の不備で不支給になるケースもあります。よくあるつまずきを押さえておきましょう。
- 転換の前にキャリアアップ計画を提出していなかった
- 就業規則に正社員転換の制度が定められていなかった
- 賃金の3%以上アップの計算方法を誤っていた(対象になる手当・ならない手当がある)
- 支給申請の期限(6か月分の賃金支払い後2か月以内)を過ぎてしまった
- 出勤簿や賃金台帳などの労務管理書類がそろっていなかった
とくに賃金の計算や就業規則の整備は専門的な部分が多いため、不安がある場合は社会保険労務士(社労士)などの専門家に相談しながら進めると安心です。
ポイント
本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説です。支給額や要件は年度ごとに見直されるため、最新の要件・手続きは必ず厚生労働省など公式サイトでご確認ください。本記事は受給を保証するものではありません。
自社が使える制度をまとめて確認するには
キャリアアップ助成金のような雇用関係の助成金のほかにも、設備投資や販路開拓を支援する補助金など、中小企業が使える制度はたくさんあります。ただ、自社がどの制度の対象になるのかを一つひとつ調べるのは大変です。
補助金レーダーでは、会社の所在地・業種・従業員数・経営課題を登録すると、自社が対象になりやすい補助金・助成金を一覧で確認できます。判定はルールに基づくスコアリングで、根拠がわかりやすいのが特徴です。「人材・雇用」の課題を選べば、キャリアアップ助成金のような雇用関係の制度も探しやすくなります。
さらに、気になる制度が見つかったら、無料相談から社労士・行政書士などの専門家の紹介まで進めます。申請の手続きに不安がある方は、まず自社に合う制度の確認から始めてみてください。