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補助金の不正受給になるケース|知らずにやりがちな違反と防ぎ方

補助金の不正受給というと「わざと嘘をついてお金をだまし取ること」を想像しがちですが、実際には、ルールをよく知らないまま手続きを進めた結果、不正と扱われてしまうケースが少なくありません。この記事では、知らずにやりがちな違反のパターンと、発覚したときのペナルティ、事前に防ぐためのポイントを整理します。

補助金の不正受給とは?「知らなかった」では済まない

補助金の不正受給とは、偽りその他不正の手段で補助金の交付を受けたり、交付された補助金を本来の目的以外に使ったりすることです。国の補助金には「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(通称:補助金適正化法)というルールがあり、違反すると交付決定の取り消しや返還だけでなく、刑事罰の対象になることもあります。

重要なのは、「だますつもりはなかった」「手続きをよく知らなかった」という言い分が通用しにくいことです。書類の日付を整えるためのちょっとした操作や、経費の使い方の勘違いでも、結果として不正受給と判断されるおそれがあります。だからこそ、やりがちなパターンを事前に知っておくことが大切です。

知らずにやりがちな不正受給のケース

実際に問題になりやすいのは、次のようなケースです。どれも「悪意はなかった」という事業者が陥りやすいものばかりです。

1. 交付決定前に発注・契約してしまう

多くの補助金では、交付決定(採択後に正式に交付が決まること)より前に発注・契約・支払いをした経費は、原則として補助の対象になりません。「どうせ採択されるだろう」と先に設備を発注し、あとから発注書や請求書の日付を交付決定後に直して提出すると、書類の改ざんとして不正受給に該当します。日付の書き換えは典型的な違反行為です。

2. 経費の水増し・キックバック

取引先に頼んで実際より高い金額の見積書や請求書を作ってもらい、差額をあとで戻してもらう(キックバック)行為は、金額の大小にかかわらず不正です。「業者のほうから提案されたので応じただけ」という場合でも、受け取った事業者側の責任は免れません。

3. 補助金を別の用途に使う(目的外使用)

設備投資のための補助金を運転資金や別事業の支払いに回すなど、申請した事業計画と違う使い方をすることも違反です。補助金適正化法では、補助金の他用途への使用にも罰則が定められています。また、補助金で買った設備を勝手に売却したり、他の事業に転用したりすることも、財産処分の制限に触れる場合があります。処分したい場合は、事前に事務局への手続きが必要です。

4. 実績報告での虚偽・水増し

補助事業が終わったあとに提出する実績報告書で、実施していない取り組みを実施したように書いたり、成果を実際より大きく報告したりする行為も不正受給にあたります。「計画どおりに進まなかったが、正直に書くと返還になりそうで怖い」という心理から虚偽報告に踏み込んでしまうケースがありますが、計画変更が必要なときは事務局に相談するのが正しい対応です。

5. 架空の取引・架空の雇用

実態のない外注や仕入れを計上する、雇用関係の助成金で実際には働いていない人を雇用したことにする、勤務時間や賃金台帳を実態と違う内容で作る、といった行為は明確な不正です。家族や関連会社との取引を経費に見せかけるケースも、実態が伴わなければ同様に問題になります。

6. 悪質な代行業者の提案に乗ってしまう

「誰でももらえる」「書類はすべてこちらで作るので任せてほしい」などとうたう業者に申請を任せた結果、実態と異なる申請書が提出され、事業者本人が不正受給の責任を問われる事例が指摘されています。申請名義は事業者本人なので、業者がやったことでも責任は申請者に及びます。内容を自分で把握できない申請は行わないことが原則です。

不正受給が発覚するとどうなる?主なペナルティ

不正受給と判断された場合のペナルティは、お金の返還だけにとどまりません。主なものを整理します。

ペナルティ内容
交付決定の取り消し・返還補助金の全部または一部の返還を求められ、加算金や延滞金が上乗せされることがあります
事業者名の公表事業者名・代表者名・不正の内容が公表され、取引先や金融機関からの信用を失うおそれがあります
申請資格の停止多くの制度で、一定期間(制度により5年程度)新たな補助金・助成金の申請ができなくなります
刑事罰補助金適正化法では、不正の手段による受給に5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(併科あり)、他用途への使用に3年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金(併科あり)が定められています。詐欺罪(10年以下の拘禁刑)に問われる可能性もあります

実際に、コロナ禍の持続化給付金では多数の不正受給が認定され、刑事事件に発展した例も報道されました。補助金・助成金は公的なお金である以上、チェックは年々厳しくなっています。

不正はどうやって発覚するのか

「ばれなければ大丈夫」と考えるのは危険です。不正受給は次のようなきっかけで発覚しています。

  • 事務局や会計検査院による書類審査・実地検査(現地調査)
  • 従業員や取引先、退職者などからの通報・内部告発
  • 税務調査など他の調査で帳簿の不一致が見つかるケース
  • 取引先への反面調査(相手側の帳簿との突き合わせ)

補助事業には、事業終了後も数年間の報告義務や書類の保存義務が課されるのが一般的です。受給した瞬間だけでなく、その後の検査で発覚することも多いと知っておきましょう。

不正受給を防ぐためのチェックポイント

不正受給の多くは、ルールの理解不足と「これくらいなら」という油断から生まれます。次のポイントを押さえておけば、意図しない違反はかなり防げます。

  • 公募要領・交付規程を必ず読み、経費の対象期間(いつから発注してよいか)を確認する
  • 発注・納品・支払いの日付と証拠書類(見積書・請求書・振込記録など)を実態どおりに残す
  • 計画どおりに進まなくなったら、自己判断せずまず事務局に計画変更の相談をする
  • 補助金で取得した設備を売却・転用する前に、財産処分の手続きが必要か確認する
  • 「誰でも通る」「全部お任せ」をうたう業者には申請を丸投げしない
  • 申請書・実績報告書の内容は、代行を使う場合でも必ず自分の目で確認する

ポイント

本記事は一般的な解説です。罰則や手続きの内容は法改正や制度ごとの規程により変わる可能性があります。最新の要件・募集状況・交付規程は、必ず各制度の公式サイトでご確認ください。

不安なときは、申請前に専門家へ相談を

「この経費は対象になるのか」「この進め方は問題ないか」と少しでも迷ったら、申請前・報告前に確認するのがいちばんの予防策です。報酬を得て補助金の申請書類の作成を代行できるのは行政書士などに限られ(2026年施行の行政書士法改正で位置づけが明確化されました)、雇用関係の助成金の申請代行は社会保険労務士などの業務です。信頼できる専門家と一緒に進めれば、意図しない違反のリスクを大きく減らせます。

「そもそも自社がどの補助金・助成金の対象になりそうか」を知りたい方は、補助金レーダーをご活用ください。会社の所在地・業種・経営課題を登録すると、対象になりやすい制度をルールベースのスコアリングで一覧表示します。気になる制度が見つかったら、無料相談から行政書士・社会保険労務士などの専門家の紹介まで進めることもできます。正しい手順で、安心して補助金を活用しましょう。

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よくある質問

悪気がなくても不正受給になりますか?

なる可能性があります。書類の日付の書き換えや経費の目的外使用などは、だますつもりがなくても不正と判断されることがあります。ルールが分からないときは自己判断せず、事務局や専門家に確認しましょう。

誤って多く受け取っていたことに気づいたらどうすればよいですか?

気づいた時点で、できるだけ早く事務局に申し出て指示を受けましょう。発覚前に自主的に申告・返還すれば、公表や刑事告発などの重い処分を避けられる場合があります。放置して後から発覚するほうがリスクは大きくなります。

申請代行業者に任せた申請で不正があった場合、責任は誰にありますか?

申請の名義人は事業者本人なので、業者が作った書類でも責任は原則として申請者に及びます。内容を確認しないまま提出するのは避け、「誰でも通る」などとうたう業者には依頼しないようにしましょう。

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