補助金は併用できる?同一経費NGのルールを解説
「設備投資にはものづくり補助金、チラシ作成には持続化補助金——2つ同時に使ってもいいの?」と迷う経営者は多いはずです。結論からいうと、補助金の併用そのものは可能です。ただし「同じ経費に複数の補助金を重ねて受け取る」ことは原則できません。この記事では、併用できるパターン・できないパターンと、申請前に確認すべきポイントをわかりやすく解説します。
結論:併用は可能。ただし「同一経費への重複」は原則NG
補助金の併用で最初に押さえるべき大原則はひとつです。それは「同じ経費に対して、複数の補助金を重複して受け取ることは原則できない」というルールです。制度が違っていても、同じ機械・同じホームページ・同じ広告費など、対象となる経費が同じであれば重ねて補助を受けることはできません。
逆にいえば、経費や事業が分かれていれば、複数の補助金・助成金を組み合わせて活用できる場合があります。「補助金は1社1つまで」という決まりがあるわけではないのです。ポイントは「何に対するお金なのか」を経費単位で切り分けて考えることです。
ポイント
本記事は一般的な解説です。併用の可否は制度・公募回ごとに公募要領で細かく定められており、変更されることもあります。最新の要件・募集状況は必ず各制度の公式サイトでご確認ください。
なぜ同一経費はNGなのか?「二重受給」のリスク
補助金の原資は税金です。同じ100万円の機械に対して、A補助金から50万円、B補助金から50万円を受け取れば、実質的な自己負担なしで設備を手に入れることになり、税金の「二重取り」にあたります。これは「二重受給」と呼ばれ、不正受給と判断されるおそれがある行為です。
二重受給が発覚した場合、補助金の返還を求められたり、交付決定が取り消されたりする可能性があります。悪質と判断されれば、その後の補助金申請で不利になることも考えられます。「知らなかった」では済まされないため、申請前の確認が欠かせません。
多くの補助金では、申請時や実績報告時に「同一経費で他の補助金を受けていないか」を申告する仕組みになっています。他の制度を利用している・申請中の場合は、正直に申告しましょう。
併用できる3つのパターン
同一経費の重複を避ければ、次のようなパターンで併用できる場合があります。
| パターン | 考え方 | 例 |
|---|---|---|
| 経費区分を分ける | 同じ会社でも、対象経費が重ならなければ併用できる場合がある | 機械設備はものづくり補助金、販路開拓のチラシは持続化補助金 |
| 事業を分ける | 別々の事業計画であれば、それぞれで申請できる場合がある | 新製品開発は補助金A、別店舗の展開は補助金B |
| 補助金×助成金を組み合わせる | 経産省系の補助金と厚労省系の助成金は目的が異なり、組み合わせやすい | 設備投資は補助金、従業員の訓練は人材開発支援助成金 |
特に相性がよいとされるのが「補助金×助成金」の組み合わせです。経済産業省系の補助金は設備投資や販路開拓など「事業」への支援、厚生労働省系の助成金は雇用や人材育成など「人」への支援が中心で、対象経費が重なりにくいためです。たとえば設備投資に補助金を使いながら、従業員の賃上げや教育訓練には業務改善助成金や人材開発支援助成金を検討する、といった形です。
ただし、この場合も「同じ経費」が両方の対象になっていないかの確認は必要です。併用できるかどうかは、それぞれの公募要領・支給要領を突き合わせて判断します。
併用できない・注意が必要なパターン
- 同じ経費に複数の補助金を充てる:制度が違っても原則NG。最も基本的な禁止パターンです。
- 同一の事業内容で国の補助金を複数申請する:公募要領で「同一事業での重複申請・重複受給」を禁止している制度が多くあります。
- 国の補助金と都道府県・市区町村の補助金の組み合わせ:可能な場合と不可の場合があり、制度ごとの判断になります。自治体側の要綱で国費との併用を制限しているケースもあります。
- 過去に同じ補助金を受けたばかりのケース:同じ制度への再申請に回数制限や間隔の条件が設けられている場合があります。
「国×自治体」の組み合わせは特に判断が分かれやすいところです。財源が異なるため併用できる場合もありますが、公募要領や交付要綱に「国の補助金との併用不可」と明記されていることもあります。迷ったら、申請前に各制度の事務局へ問い合わせるのが確実です。
申請前にやるべき確認手順3ステップ
併用を検討するときは、次の手順で確認を進めると安全です。
- ステップ1:使いたい制度の公募要領を読み、「重複」「併用」「他の補助金」に関する条項を探す
- ステップ2:経費の一覧をつくり、どの経費をどの制度に充てるのかを1対1で整理する(同じ経費が2つの制度にまたがっていないか確認)
- ステップ3:判断に迷う点は、申請前に各制度の事務局へ問い合わせる。回答内容はメモやメールで記録に残しておく
なお、制度の名称や枠組みは年度ごとに変わることがあります。たとえばIT導入補助金は、2026年7月時点で「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わっています。古い記事や資料の情報だけで判断せず、必ず最新の公式サイト・公募要領を確認しましょう。
自社で使える制度の組み合わせを整理するには
併用をうまく活用するには、まず「自社がどの補助金・助成金の対象になり得るか」を一覧で把握することが出発点になります。候補が見えてはじめて、経費の切り分けや組み合わせの検討ができるからです。
補助金レーダーでは、会社の所在地・業種・経営課題などを登録すると、自社が対象になりやすい補助金・助成金をルールベースのスコアで一覧表示できます。気になる制度が見つかったら、無料相談から行政書士・社労士などの専門家の紹介につなげることも可能です。併用の可否のような細かい判断こそ専門家の知見が活きる場面なので、候補の整理とあわせてぜひ活用してみてください。