医療・介護事業者が使える補助金・助成金まとめ【2026年度】
人手不足や物価高で経営が厳しいなか、「介護向けの補助金があると聞いたが、どれが自社に当てはまるのかわからない」という声をよく聞きます。医療・介護分野は国の政策的な後押しが強く、設備・IT・人材のそれぞれに使える制度がそろっています。この記事では、介護事業者と医療機関が使いやすい主な補助金・助成金を、2026年7月時点の情報で整理して解説します。
なぜ医療・介護分野は補助金・助成金が手厚いのか
医療・介護は、高齢化で需要が増える一方、働き手の確保が難しい分野です。そのため国や都道府県は、「機器やICTの導入で業務を効率化する」「職員の賃金や技能を引き上げて定着してもらう」という2つの方向で、事業者を支援する制度を用意しています。
医療・介護事業者が使える制度は、大きく次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 設備・テクノロジー導入の支援:見守り機器・介護記録ソフト・電子カルテなどの導入費用を補助
- 人材・賃金の支援:賃上げ、資格取得、研修、雇用環境の整備などにかかる費用を助成
- 業種を問わない一般的な補助金:小規模事業者持続化補助金など、介護・医療でも使える横断的な制度
介護事業者向けの主な補助金・助成金
介護テクノロジー導入支援事業(介護ロボット・ICT補助金)
介護事業者の設備投資でまず検討したいのが、都道府県が実施する「介護テクノロジー導入支援事業」です。見守りセンサー、インカム、介護記録ソフト、タブレットなど、介護現場の負担を減らすテクノロジーの導入費用の一部が補助されます。
2026年7月時点の情報では、補助率は要件によって変わり、最大4分の3(一部の導入の組み合わせでは5分の4)とされています。窓口は事業所のある都道府県で、2026年度は多くの都道府県で5月〜8月にかけて順次公募が始まっています。対象機器・補助率・受付期間は都道府県ごとに異なり、事前のアンケート回答やセミナー参加が条件になる地域もあるため、必ず所在地の都道府県の公式サイトで最新の交付要綱を確認してください。
業務改善助成金(賃上げ×設備投資)
業務改善助成金は、事業場内でいちばん低い時給を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上につながる設備投資を行った中小企業を支援する厚生労働省の助成金です。介護事業所では、介護ソフトや送迎車両関連の設備、リフトなどの導入と賃上げを組み合わせて活用される例が多い制度です。
2026年7月時点の情報では、令和8年度は引き上げ額に応じた50円・70円・90円の3コースで、助成率は引き上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら5分の4、1,050円以上なら4分の3、助成上限は最大600万円とされています。申請受付は2026年9月1日開始予定と案内されているため、いまのうちに賃上げと投資の計画を立てておくとスムーズです。最新の要件は厚生労働省の公式サイトで確認しましょう。
人材開発支援助成金(資格取得・研修)
介護職員初任者研修や実務者研修など、職員の資格取得・訓練にかかる費用と訓練期間中の賃金の一部を助成するのが、厚生労働省の人材開発支援助成金です。人材の定着や早期離職の防止につながるため、介護事業所と相性のよい助成金です。訓練の内容や時間数によってコースが分かれるので、計画を立てる段階で要件を確認してください。
ポイント
注意:以前よく使われていた「人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)」は、令和6年3月31日で廃止されています。古い記事の情報をもとに申請準備を進めないよう注意しましょう。
医療機関(クリニック・病院)向けの主な支援制度
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
2026年度から「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。電子カルテ、レセコン、予約システム、オンライン診療ツールなどの導入費用が対象になり得ます。2026年7月時点の情報では、通常枠の補助率は2分の1〜3分の2、補助額は5万円〜450万円以下とされ、締切は年に複数回設けられています(直近では2026年7月21日締切の回が案内されています)。
この補助金は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」(ベンダー)と共同で申請する仕組みです。導入したいツールのベンダーが登録事業者かどうかを先に確認し、交付決定前に契約・購入しないよう注意してください。最新のスケジュールは公式サイトで確認しましょう。
医療情報化支援基金・自治体独自の支援
電子処方箋への対応や電子カルテ情報共有サービスの導入については、国の「医療情報化支援基金」による支援があります。また、東京都の病院・診療所向けの診療情報デジタル化支援のように、自治体が独自の補助を用意している場合もあります。医療機関の所在地の都道府県・市区町村の情報もあわせて確認すると、使える制度の幅が広がります。
主な制度の比較(2026年7月時点)
| 制度名 | 主な対象 | 使いみちの例 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 介護テクノロジー導入支援事業 | 介護事業者 | 見守り機器・インカム・介護記録ソフト | 都道府県 |
| 業務改善助成金 | 中小企業(介護・医療含む) | 賃上げ+生産性向上の設備投資 | 都道府県労働局 |
| 人材開発支援助成金 | 雇用保険適用事業所 | 介護資格の取得・職員研修 | 都道府県労働局 |
| デジタル化・AI導入補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 電子カルテ・レセコン・予約システム | 事務局(IT導入支援事業者経由) |
| 医療情報化支援基金 | 医療機関 | 電子処方箋・カルテ情報共有への対応 | 国(社会保険診療報酬支払基金等) |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者 | 販路開拓・チラシ・ホームページ等 | 商工会・商工会議所 |
なお、介護職員の賃金を底上げする「介護職員等処遇改善加算」は、補助金ではなく介護報酬の加算です。申請先や手続きが補助金とは異なるため、処遇改善は加算、設備投資は補助金、と分けて考えるのがコツです。
申請前に押さえたい3つの注意点
- 後払いが原則:補助金・助成金の多くは、先に自己資金で支払い、あとから振り込まれます。導入費用をいったん立て替えられる資金繰りの計画が必要です。
- 順番を間違えない:交付決定前に契約・購入した費用は対象外になるのが一般的です。「申請→交付決定→契約・導入→実績報告」の順番を守りましょう。
- 締切と地域差に注意:とくに介護テクノロジー導入支援事業は都道府県ごとに要件・時期がばらばらです。予算がなくなり次第終了する制度もあるため、早めに動くことが大切です。
ポイント
本記事は2026年7月時点の情報にもとづく一般的な解説です。金額・補助率・締切などの要件や募集状況は変更されることがあります。申請の際は、必ず各制度の公式サイト・交付要綱で最新情報をご確認ください。
自社が使える制度をまとめて確認するには
ここまで見てきたとおり、医療・介護事業者が使える制度は国・都道府県・市区町村に分かれていて、自力で全部を追いかけるのは大変です。「結局うちはどれを使えるのか」を手早く知りたい方は、補助金レーダーをお試しください。会社の所在地・業種・課題を登録すると、条件に合いやすい補助金・助成金がスコア順に一覧表示されます。
気になる制度が見つかったら、無料相談から行政書士・社労士などの専門家の紹介まで進めます。助成金は社労士、補助金の申請書類づくりは行政書士など、制度によって頼れる専門家も変わるため、迷ったらまず無料相談で状況を整理するのがおすすめです。