補助金の加点項目とは?採択率を上げる認定制度をわかりやすく解説
補助金の審査は、事業計画書の内容だけで決まるわけではありません。国が推進する取り組みを行っている事業者には「加点」が付き、同じレベルの計画なら加点がある事業者のほうが採択に近づきます。この記事では、補助金の加点の仕組みと、代表的な加点項目・認定制度、取得の順番と注意点を解説します。
補助金の加点とは?審査の点数が上乗せされる仕組み
補助金の多くは、応募者全員が採択されるわけではなく、事業計画書などを審査して点数の高い順に採択される「競争」の仕組みです。このとき、事業計画そのものの評価に加えて、一定の要件を満たす事業者に点数が上乗せされるのが「加点」です。
加点の対象になるのは、賃上げへの取り組みや災害への備え、取引先との適正な取引など、国が中小企業に広めたい取り組みです。あらかじめ決められた認定や宣言を取得しておき、申請時に申告することで加点されます。どんな加点があるかは、各補助金の公募要領に一覧で書かれています。
ポイント
本記事は2026年7月時点の情報にもとづく一般的な解説です。加点項目の内容や数は補助金ごと・公募回ごとに変わります。最新の要件・募集状況は、必ず各補助金の公式サイトと公募要領でご確認ください。
加点で採択率はどのくらい変わる?
加点は「あれば少し有利」という程度のものではありません。たとえばものづくり補助金では、加点項目の取得数が多い事業者ほど採択率が高い傾向にあることが、事務局の公表データなどから知られています。採択率が5割を下回るような競争の厳しい公募では、事業計画の質が同じくらいの申請者同士の差は、加点の有無で決まることも珍しくありません。
一方で、加点はあくまで「上乗せ」です。事業計画そのものの評価が低ければ、加点をいくら積んでも採択には届きません。「良い事業計画を作る」ことが土台で、「取れる加点は漏らさず取る」ことが仕上げ、という関係で考えるのがよいでしょう。
代表的な加点項目と認定制度の一覧
加点の対象になる制度は補助金ごとに異なりますが、複数の補助金で共通して使われる代表的なものがあります。まずは全体像を、取得にかかるおおよその手間とあわせて見てみましょう。
| 加点項目・認定制度 | 内容 | 取得の目安 |
|---|---|---|
| パートナーシップ構築宣言 | 取引先との適正取引・共存共栄を宣言し、ポータルサイトに公開する | 短い(登録から公開まで1〜2週間程度とされる) |
| 事業継続力強化計画 | 防災・減災の事前対策計画を作り、経済産業大臣の認定を受ける | 数週間〜数か月(電子申請。GビズIDが必要) |
| 経営革新計画 | 新事業への取り組み計画について都道府県などの承認を受ける | 長め(計画作成と審査に時間がかかる) |
| 経営力向上計画 | 生産性向上の取り組み計画について国の認定を受ける | 数週間〜(電子申請が中心) |
| 賃上げに関する加点 | 従業員の賃金引上げを表明・実施する | 表明自体は短いが、実施の責任を伴う |
| えるぼし・くるみん等の認定 | 女性活躍や子育て支援など、働きやすい職場づくりの認定 | 長め(実績や体制整備が必要) |
パートナーシップ構築宣言:まず検討したい取り組みやすい加点
パートナーシップ構築宣言は、下請け企業など取引先との適正な取引や共存共栄を目指すことを、代表者の名前で宣言し、専用のポータルサイトに公開する制度です。認定審査があるわけではなく、宣言文を作成して登録すれば公開されます。公式ポータルサイトでは登録から公開までおおむね10日前後(申請が集中する時期はさらに数日)とされており(2026年7月時点)、加点項目の中では取り組みやすい部類です。ものづくり補助金をはじめ、複数の補助金で加点対象になっています。
事業継続力強化計画:防災の備えが加点になる認定制度
事業継続力強化計画は、地震や水害などの災害が起きても事業を続けられるように、自社の防災・減災の事前対策をまとめた計画を作り、経済産業大臣の認定を受ける制度です。中小企業庁が所管しており、専用の電子申請システムから申請します。申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要です。
認定までには審査期間があるため、補助金の締切直前に始めると間に合わないことがあります。加点になるだけでなく、災害への備えとして自社の役にも立つ制度なので、補助金申請の予定がある方は早めに着手するのがおすすめです。
経営革新計画・経営力向上計画:経営計画系の認定
経営革新計画は、新商品開発や新サービスなど「新しい事業活動」に取り組む計画を作り、都道府県などの承認を受ける制度です。経営力向上計画は、人材育成や設備投資などで生産性を高める計画について国の認定を受ける制度です。どちらも補助金の加点対象になることがあるほか、金融支援や税制面の措置につながる場合もあります。計画の作成にはある程度の時間と内容の作り込みが必要なので、余裕を持って準備しましょう。
賃上げ・働きやすい職場づくりに関する加点
従業員の賃金引上げを表明・実施する事業者への加点は、近年多くの補助金で重視されています。ただし、表明した賃上げを実施できなかった場合に補助金の返還などのペナルティが定められていることがあるため、無理のない計画で申告することが大切です。
このほか、女性活躍推進の「えるぼし認定」、子育て支援の「くるみん認定」、健康経営優良法人の認定なども、補助金によっては加点対象です。これらは職場の体制整備や実績が必要で取得に時間がかかりますが、採用や企業イメージにもプラスに働く取り組みです。
加点を取るときの注意点と準備の順番
加点を狙ううえで、押さえておきたい注意点が3つあります。
- 加点項目は補助金ごと・公募回ごとに違う:申請したい補助金の最新の公募要領で、どの加点が対象か・申請できる加点の数に上限があるかを必ず確認しましょう。たとえば小規模事業者持続化補助金では、選択できる加点の数に上限が設けられています(2026年7月時点)。
- 取得には期限がある:多くの加点は「申請締切までに認定・宣言が済んでいること」が条件です。認定に数か月かかる制度もあるため、締切から逆算して早めに動き出しましょう。
- 実態のない申告はしない:加点のためだけに実態のない宣言や計画を出すのは避けましょう。賃上げ表明のように、達成できない場合の措置が定められているものもあります。
準備の順番としては、まず「パートナーシップ構築宣言」のような短期間で取り組めるものを押さえ、並行して「事業継続力強化計画」など認定に時間がかかるものに着手する、という流れが現実的です。電子申請に必要なGビズIDプライムをまだ持っていない方は、その取得から始めましょう。
まずは自社が対象になる補助金を知ることから
加点の準備は大切ですが、その前に「そもそも自社はどの補助金の対象になるのか」を把握しておかないと、どの加点を取るべきかも決められません。補助金・助成金は数が多く、対象条件も制度ごとにばらばらだからです。
補助金レーダーでは、会社の所在地・業種・従業員数・経営課題を登録すると、対象になりやすい補助金・助成金をルールベースのスコアで一覧表示できます。無料で自社に合う制度を確認でき、気になる制度が見つかったら、無料相談から行政書士・社労士などの専門家の紹介まで進めます。「どの補助金を狙い、どの加点から準備するか」という作戦づくりに、ぜひお役立てください。