助成金と給付金の違いをやさしく解説|目的・審査・申請の比較
「助成金と給付金は何が違うの?」と聞かれて、はっきり答えられる方は多くありません。どちらも返済不要のお金ですが、目的や受け取るための条件は大きく異なります。この記事では、助成金と給付金の違いを5つの観点からやさしく整理し、経営者がどう活用すべきかまで解説します。
結論:助成金は「取り組みへの支援」、給付金は「条件を満たした人への支給」
まず結論からお伝えします。助成金は、雇用の改善や人材育成など「事業者が行う取り組み」を後押しするお金です。一方、給付金は、災害や感染症などの影響を受けた人・事業者の生活や事業を守るために「条件に当てはまる人へ支給される」お金です。
似た言葉に「補助金」もあります。3つの違いをざっくり比べると、次の表のようになります。
| 助成金 | 給付金 | 補助金(参考) | |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 雇用・職場環境の改善を支援 | 生活や事業の緊急的な支援 | 事業の成長・政策の実現を支援 |
| 主な管轄 | 厚生労働省が中心 | 国・自治体 | 経済産業省・自治体が中心 |
| 受給の考え方 | 要件を満たす取り組みを行えば受給しやすい | 条件に当てはまれば支給される | 審査で採択・不採択が分かれる |
| 募集期間 | 通年で申請できるものが多い | 常設ではなく期間限定が多い | 公募期間が決まっている |
| お金の性質 | 取り組みの後に支払われる後払い | 申請後に比較的早く支給 | 経費の一部を後から補助 |
ポイント
本記事は一般的な解説です。制度の名称・要件・募集状況は変わることがあります。最新の情報は必ず各制度の公式サイトでご確認ください。
助成金とは?雇用や職場づくりを支援するお金
助成金は、主に厚生労働省が管轄する、雇用関係の支援金です。従業員の正社員化、賃金の引き上げ、教育訓練、育児と仕事の両立支援など、「働く環境をよくする取り組み」を行った事業者に支給されます。財源には事業主が納める雇用保険料などが使われています。
助成金の大きな特徴は、要件を満たす取り組みをきちんと実施し、正しく申請すれば受給できる可能性が高いことです。補助金のように「他社との競争で採択が決まる」仕組みではありません。ただし、就業規則の整備や出勤簿・賃金台帳などの労務管理が前提になるため、書類の不備があると受給できない点には注意が必要です。
代表的な助成金の例
- キャリアアップ助成金:パート・アルバイトなど非正規雇用の従業員の正社員化や処遇改善を支援(厚生労働省)
- 業務改善助成金:事業場内の最低賃金の引き上げと設備投資をあわせて行う中小企業を支援(厚生労働省)
- 人材開発支援助成金:従業員への職業訓練・研修の実施を支援(厚生労働省)
いずれも「雇用している従業員に対して何かをする」ことが前提の制度です。取り組みを始める前に計画の届け出などが必要な場合が多いので、着手前に要件を確認することが大切です。
給付金とは?条件に当てはまる人に支給されるお金
給付金は、国や自治体が、生活や事業の支援を目的として支給するお金です。「何かに取り組んだから」ではなく、「一定の条件に当てはまるから」支給されるのが特徴です。物価高や災害、感染症の流行など、社会的な出来事への緊急対応として実施されることが多く、常設の制度ではない点が助成金との大きな違いです。
事業者向けの代表例が、新型コロナウイルスの影響で売上が大きく減少した事業者を支援した「持続化給付金」です。事業全般に広く使えるお金として支給されましたが、この制度の申請受付はすでに終了しています。このように、給付金は目的を果たすと制度自体が終わることが一般的です。
なお、名前がよく似た「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓などを支援する現在も続く補助金であり、持続化給付金とはまったく別の制度です。名前だけで判断せず、制度の中身を確認しましょう。
助成金と給付金の5つの違いを詳しく
1. 目的の違い
助成金は「雇用や職場環境をよくする取り組みを増やす」ことが目的です。給付金は「困っている人・事業者を直接支える」ことが目的です。国がお金を出す理由がそもそも違う、と考えるとわかりやすいです。
2. 管轄の違い
助成金の多くは厚生労働省の管轄で、申請先は労働局やハローワークになることが一般的です。給付金は、国の省庁だけでなく市区町村など自治体が実施することも多く、制度ごとに窓口が異なります。
3. 審査・受給しやすさの違い
助成金は、要件を満たす取り組みの実施と適切な書類がそろっていれば受給できる可能性が高い制度です。給付金は、売上の減少幅や所得など客観的な条件で対象かどうかが決まり、事業計画の中身を競うような審査は基本的にありません。ただし、どちらも要件確認や書類の審査はあるため、「申請すれば必ずもらえる」わけではない点は同じです。
4. 募集期間の違い
助成金は通年で申請を受け付けているものが多く、自社のタイミングで取り組みを計画できます。給付金は実施期間が限定されていることが多く、「知ったときには受付が終わっていた」ということが起こりがちです。
5. お金の使い道と受け取り方の違い
助成金は、正社員化や研修など対象の取り組みを実施した後に支払われる「後払い」が基本です。給付金は、生活や事業を支えることが目的のため使い道の自由度が高く、申請から支給までが比較的早い傾向があります。
経営者はどちらを狙うべき?実務での考え方
給付金は、災害や経済危機などの際に実施される臨時的な制度が中心です。対象になったときに漏れなく申請するのが基本スタンスで、平時に「給付金でお金を集める」計画は立てにくいのが実情です。
一方、助成金は通年で使えるものが多く、従業員を雇用している会社なら計画的に活用できます。「非正規の従業員を正社員にしたい」「研修を充実させたい」「賃金を引き上げたい」といった予定があるなら、着手前に対応する助成金がないかを確認する習慣をつけると、取りこぼしを減らせます。
- 従業員を雇っている → まず厚生労働省系の助成金をチェック
- 設備投資・販路開拓・IT導入をしたい → 補助金もあわせて検討
- 災害や経済状況の変化で影響を受けた → 国・自治体の給付金の発表を確認
自社が対象になる制度をまとめて確認するには
助成金・給付金・補助金は制度の数が多く、名前も似ているため、自社に関係するものを一つずつ調べるのは大変です。「補助金レーダー」なら、所在地や業種、従業員数、経営課題などの会社情報を登録するだけで、自社が対象になりやすい補助金・助成金をルールベースのスコアリングで一覧表示できます。
気になる制度が見つかったら、無料相談から行政書士・社会保険労務士などの専門家の紹介まで進めることもできます。特に助成金は労務管理の整備が前提になるため、社会保険労務士に早めに相談すると準備がスムーズです。まずは自社がどの制度の対象になりそうか、無料で確認してみてください。