個人事業主がもらえる助成金まとめ|従業員の有無で使える制度が変わる
「助成金は会社向けで、個人事業主には関係ない」と思っていませんか。実は、多くの助成金・補助金は法人だけでなく個人事業主も対象です。ただし、従業員を雇っているかどうかで使える制度が大きく変わります。この記事では、個人事業主が使える主な助成金・補助金を、雇用の有無で整理してわかりやすく解説します。
個人事業主も助成金・補助金の対象になる
国や自治体の支援制度の多くは「中小企業・小規模事業者」を対象としており、この中には個人事業主も含まれます。法人でなければ申請できない、ということは基本的にありません。フリーランスとして開業届を出して事業をしている方も、要件を満たせば申請できます。
ここで押さえておきたいのが、「助成金」と「補助金」の違いです。呼び方は似ていますが、性格がかなり異なります。
| 助成金 | 補助金 | |
|---|---|---|
| 主な所管 | 厚生労働省(雇用関係) | 経済産業省・自治体など |
| 目的 | 雇用の安定・労働環境の改善 | 販路開拓・設備投資・IT導入など |
| 受給の考え方 | 要件を満たせば支給されやすい | 審査があり、採択されないともらえない |
| 前提 | 従業員の雇用(雇用保険)が前提のものが多い | ひとりで営む個人事業主も対象になりやすい |
つまり、従業員を雇っていない「ひとり個人事業主」の場合、雇用関係の助成金はほとんど使えず、実際の選択肢は補助金が中心になります。逆に、パート・アルバイトでも人を雇っていれば、助成金の選択肢が一気に広がります。
ポイント
本記事は2026年7月時点の情報にもとづく一般的な解説です。金額・補助率・締切などの要件や募集状況は変わることがあります。申請の際は必ず各制度の公式サイトで最新情報をご確認ください。
従業員を雇っている個人事業主が使える主な助成金
パートやアルバイトを含めて人を雇っている個人事業主なら、厚生労働省の雇用関係助成金が候補になります。代表的なものを2つ紹介します。
業務改善助成金|賃上げ+設備投資をセットで支援
業務改善助成金は、事業場内でいちばん低い時給(事業場内最低賃金)を引き上げ、あわせて生産性向上のための設備投資を行った場合に、設備投資費用の一部が助成される制度です。2026年7月時点の情報では、令和8年度は引き上げ額に応じて50円・70円・90円の3コースがあり、助成上限は区分によって最大600万円、助成率は引き上げ前の時給が1,050円未満なら5分の4、1,050円以上なら4分の3とされています。最低賃金に近い時給でスタッフを雇っている店舗や事業所は、対象になりやすい制度です。
キャリアアップ助成金|非正規スタッフの正社員化を支援
キャリアアップ助成金は、パート・アルバイト・契約社員など非正規の従業員の正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。中心となる正社員化コースでは、2026年7月時点で、有期雇用の従業員を正社員に転換した場合、中小企業で1人あたり40万円が支給され、就業経験の少なさなど一定の要件を満たす「重点支援対象者」の転換では80万円(40万円×2期)に増額されるとされています。従業員のいる個人事業主も対象です。ただし、転換の前に「キャリアアップ計画」を労働局に提出しておく必要があるなど、手順に細かいルールがあります。
このほかにも、職業経験の少ない人を試行的に雇う場合のトライアル雇用助成金など、雇用に関する助成金は多くの種類があります。いずれも、従業員が雇用保険に加入していることが前提になる点に注意しましょう。
ひとりの個人事業主でも使える主な補助金
従業員がいなくても、事業のための投資を支援する補助金は使えます。個人事業主の利用が多い代表的な制度を紹介します。
| 制度名 | 主な使いみち | 補助上限(2026年7月時点) |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | チラシ作成・ホームページ改修・店舗改装などの販路開拓 | 原則50万円(特例で最大250万円)・補助率2/3 |
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 会計ソフト・予約システムなどITツールの導入 | 通常枠で最大450万円・補助率1/2以内(小規模事業者は賃上げ等の条件により引き上げあり) |
| 自治体の創業助成など | 開業時の家賃・広告費・人件費など(自治体により異なる) | 自治体・制度により異なる |
小規模事業者持続化補助金|まず検討したい定番
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画を作り、販路開拓(売上を伸ばす取り組み)に使った経費の一部を国が補助する制度です。個人事業主の申請がとても多い、いわば定番の補助金です。2026年7月時点では第20回(一般型・通常枠)の公募要領が公開されており(申請受付は2026年11月開始・12月中旬締切の予定)、補助上限は原則50万円・補助率2/3で、インボイス特例や賃金引上げ特例を使うと最大250万円まで上乗せされます。地域の商工会・商工会議所の支援を受けながら申請する仕組みなので、初めてでも相談しながら進めやすいのが特徴です。
デジタル化・AI導入補助金|ITツールの導入に
旧「IT導入補助金」は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。会計ソフトや予約管理システムなど、業務を効率化するITツールの導入費用の一部が補助されます。個人事業主も対象ですが、確定申告書の控えなどの書類が必要になるため、開業して間もない方は必要書類がそろわず申請できない場合があります。2026年7月時点では通常枠で最大450万円、補助率は基本が2分の1以内とされています。
申請前に知っておきたい3つの注意点
- 原則「後払い」:補助金・助成金は、先に自分で経費を支払い、実績が認められた後に振り込まれます。手元資金の計画が大切です。
- 審査で不採択になることもある:とくに補助金は審査があり、申請すれば受け取れるものではありません。計画書の内容が重要です。
- 募集期間が限られる:締切を過ぎると次の公募を待つことになります。使いたい制度のスケジュールは早めに確認しましょう。
また、「開業前だが使える制度はあるか」という相談もよくあります。開業前後の方は、自治体の創業助成(東京都の創業助成事業など)や、持続化補助金の創業型が候補になります。お住まいの都道府県・市区町村の制度もあわせて調べてみましょう。
自分が対象になる制度を手早く確認するには
ここまで見てきたように、個人事業主が使える制度は「従業員の有無」「業種」「地域」「やりたいこと」によって変わります。一つひとつの公式サイトを読み込むのは大変なので、まず候補を絞り込むところから始めるのが現実的です。
補助金レーダーでは、事業の所在地・業種・従業員数・取り組みたい課題を登録すると、対象になりやすい補助金・助成金をルールベースのスコアで一覧表示できます。まず自分の事業に合う候補を確認し、「この制度を申請したい」となったら、無料相談から行政書士・社会保険労務士などの専門家紹介まで進めます。制度選びで迷っている方は、最初の一歩としてぜひ活用してみてください。