国の補助金と自治体の補助金の違い|二重取りはできる?
補助金には、国(省庁)が実施するものと、都道府県や市区町村といった自治体が実施するものがあります。「何が違うの?」「両方もらえるの?」と疑問に思う経営者は多いはずです。この記事では、国と自治体の補助金の違いを比較表で整理し、気になる「二重取り」の可否と併用ルールをわかりやすく解説します。
結論:実施主体と財源が違う。二重取りは原則NG
まず結論からお伝えします。国の補助金と自治体の補助金は、「誰が」「どんなお金で」実施しているかが違います。国の補助金は中小企業庁などの省庁が国の予算で実施し、自治体の補助金は都道府県・市区町村が自らの予算で実施するのが基本です。
そして「二重取り」、つまり同じ経費に対して国と自治体の補助金を重ねて受け取ることは原則できません。一方で、経費や事業を分ければ、国の補助金と自治体の補助金を組み合わせて活用できる場合があります。「二重取りはNG、使い分けはOKの場合がある」——これが基本の考え方です。
ポイント
本記事は一般的な解説です。併用の可否や各制度の要件は、制度・公募回ごとに公募要領や交付要綱で個別に定められており、変更されることもあります。最新の要件・募集状況は必ず公式サイトでご確認ください。
国の補助金と自治体の補助金の違いを比較
両者の主な違いを表で整理します。あくまで一般的な傾向であり、個々の制度によって異なる点はご注意ください。
| 項目 | 国の補助金 | 自治体の補助金 |
|---|---|---|
| 実施主体 | 中小企業庁・厚生労働省などの省庁や、その事務局 | 都道府県・市区町村 |
| 財源 | 国の予算(税金) | 自治体の予算が基本(国の交付金が原資の場合もある) |
| 対象エリア | 全国の事業者 | その自治体に所在地や事業所がある事業者が中心 |
| 規模の傾向 | 予算・補助額が大きい制度が多い | 小規模な制度が中心だが、地域の実情に合った内容 |
| 競争の傾向 | 全国から申請が集まり、競争率が高くなりやすい | 対象が地域内に限られ、競争が比較的ゆるやかな場合がある |
| 情報の探し方 | 省庁・事務局の公式サイト、電子申請システム「jGrants」など | 自治体の公式サイト、広報誌、商工会議所・商工会など |
国の補助金の代表例には、ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)や小規模事業者持続化補助金などがあります。なお、IT導入補助金は2026年7月時点で「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わっています。制度名は年度で変わることがあるため、最新は公式サイトで確認しましょう。
自治体の補助金の例としては、東京都の創業助成金のように、都道府県や市区町村が地域の事業者向けに独自に実施するものがあります。家賃補助や小規模な設備・販促への補助など、国の制度ではカバーしにくい身近な経費を対象にした制度が見つかることもあります。
適用されるルールも異なる
国の補助金には「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(通称:補助金適正化法)という法律が適用され、不正受給への罰則や返還のルールが定められています。一方、自治体が独自財源で実施する補助金はこの法律の直接の適用対象ではなく、各自治体の条例や交付要綱にもとづいて運用されます。どちらの場合も、ルール違反があれば返還などを求められる点は同じです。
「二重取り」はできる?併用ルールの基本
同じ経費への重複受給は原則できない
たとえば100万円の機械を買うとき、国の補助金から50万円、自治体の補助金から50万円を受け取れば、自己負担がほぼゼロになってしまいます。補助金の原資は税金なので、こうした「同一経費への重複受給」は原則として認められていません。多くの制度では、公募要領や交付要綱に「同一経費について他の補助金を受けている場合は対象外」といった規定が置かれています。
重複受給が発覚すると、補助金の返還や交付決定の取り消しを求められる可能性があります。申請時に「他の補助金の利用状況」を申告する制度も多いため、他制度を利用中・申請中の場合は正直に申告しましょう。
経費や事業を分ければ併用できる場合がある
一方で、対象となる経費や事業が重ならなければ、国と自治体の補助金を組み合わせられる場合があります。たとえば「生産設備は国のものづくり補助金、店舗の販促物は自治体の販路開拓補助金」のように、経費単位で制度を1対1に切り分ける形です。ポイントは「同じお金の使い道に2つの補助金を重ねない」ことです。
自治体の補助金でも「財源が国のお金」の場合は要注意
見落としやすいのが財源の問題です。自治体が窓口の補助金でも、実際の財源が国の交付金である場合があります。この場合、国費同士の重複にあたるとして、国の補助金との併用が制限されることがあります。窓口が自治体かどうかだけでは判断できないため、併用を考えるときは必ず両方の公募要領・交付要綱を確認し、迷ったら事務局に問い合わせましょう。
どちらから探すべき?使い分けのポイント
- 大きな設備投資や新規事業など、まとまった資金が必要なら:補助額の大きい国の補助金を軸に検討する
- 家賃・小規模な販促・地域限定の取り組みなら:自治体の補助金に身近な制度がないか探してみる
- 国の制度で不採択だった・要件が合わなかったら:同じテーマの自治体制度がないか確認する
- 両方使いたいなら:経費の一覧をつくり、どの経費をどの制度に充てるか1対1で整理する
自治体の補助金は住んでいる地域・事業所のある地域でしか使えない分、対象者が限られ、地域の事業者にとってはチャンスになりやすい制度です。国の制度だけでなく、都道府県と市区町村の両方のサイトをチェックする習慣をつけると、選択肢が広がります。
申請前に確認したい3つのチェックポイント
- 対象要件:所在地・業種・従業員数などが要件に合っているか。自治体の制度は「その自治体に本店・事業所があること」が条件のことが多い
- 併用ルール:公募要領・交付要綱の「他の補助金との併用」「重複」に関する記載を確認する。自治体制度の場合は財源(国費かどうか)にも注意
- スケジュール:公募期間と、経費の発注・支払いのタイミング。多くの補助金は交付決定前に発注した経費が対象外になる
自社が対象になる制度をまとめて確認するには
国と自治体の補助金をうまく使い分ける第一歩は、「自社がどの制度の対象になり得るか」を一覧で把握することです。候補が見えてはじめて、経費の切り分けや併用の検討ができるようになります。
補助金レーダーでは、会社の所在地・業種・経営課題などを登録すると、自社が対象になりやすい補助金・助成金をルールベースのスコアで一覧表示できます。無料で対象制度の確認ができ、気になる制度が見つかったら、無料相談から行政書士・社労士などの専門家の紹介につなげることも可能です。国と自治体の併用可否のような細かい判断こそ専門家の知見が活きる場面なので、候補の整理とあわせて活用してみてください。