制度を知る

【2026年最新】65歳超雇用推進助成金とは?シニア雇用を支援する3コースを解説

人手不足が続くなか、経験豊富なシニア人材に長く働いてもらいたいと考える会社は増えています。65歳超雇用推進助成金は、定年の引上げや廃止、66歳以上まで働ける継続雇用制度の導入などに取り組む事業主を支援する国の助成金です。この記事では、3つのコースの内容と主な要件、申請の流れを、はじめての方にもわかりやすく解説します。

65歳超雇用推進助成金とは

65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が年齢に関わりなく意欲と能力に応じて働き続けられる社会(生涯現役社会)の実現を目的とした、厚生労働省所管の助成金です。実際の申請受付や審査は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が行っています。

対象となるのは、65歳以上への定年引上げや定年の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入、高年齢者向けの雇用管理制度の整備、50歳以上の有期契約労働者の無期雇用への転換などに取り組む事業主です。「シニアに長く活躍してもらう仕組みづくり」を後押しする制度、とイメージするとわかりやすいでしょう。

雇用関係の助成金なので、原則として雇用保険の適用事業所であることが前提になります。また、返済不要のお金である点は補助金と同じですが、公募・審査で採否が決まる補助金と違い、要件を満たして正しく申請すれば支給される仕組みである点が特徴です(要件の確認は厳格に行われます)。

3つのコースの概要

65歳超雇用推進助成金には、取り組みの内容に応じて3つのコースがあります。まずは全体像を押さえましょう。

コース名対象となる取り組み
65歳超継続雇用促進コース65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止、66歳以上の継続雇用制度(希望者全員を対象とする制度のほか、2026年度からは対象者基準に該当する者を対象とする制度も対象)の導入、他社による継続雇用制度の導入のいずれかを実施
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース高年齢者の雇用推進のための雇用管理制度(賃金・人事処遇制度、労働時間の柔軟化、健康管理制度など)の整備を実施
高年齢者無期雇用転換コース50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用労働者に転換

たとえば「定年を65歳から70歳に引き上げたい」なら65歳超継続雇用促進コース、「シニア向けに短時間勤務や健康管理の仕組みを整えたい」なら高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、「長く働いてくれている契約社員を無期雇用にしたい」なら高年齢者無期雇用転換コース、という使い分けになります。

支給額の考え方(65歳超継続雇用促進コースの例)

支給額は、コースや実施する措置の内容、対象となる60歳以上の被保険者の人数などによって変わります。中心となる65歳超継続雇用促進コースでは、2026年7月時点で受給額は15万円〜240万円の範囲とされており、定年の定めの廃止で最大240万円、70歳以上への定年引上げで最大140万円と、より思い切った取り組みほど金額が大きくなる設計です。金額は年度の途中でも見直されることがあるため、最新の支給額は必ずJEEDの公式サイトでご確認ください。

65歳超継続雇用促進コースの主な要件は、2026年7月時点で次のとおりです。

  • 労働協約または就業規則により、定年引上げ等の制度を新たに定めて実施すること
  • 1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること
  • 高年齢者雇用安定法に定める高年齢者雇用等推進者の選任など、高年齢者の雇用管理に関する措置を実施していること

このほかにも細かな要件があります。特に就業規則の改定日や施行日、対象者の雇用期間は審査で厳密に確認されるポイントなので、着手前に支給要領(手引き)を読み込んでおくことが大切です。

2026年度(令和8年度)の主な変更点

この助成金は年度ごとに内容が見直されます。2026年度は、2026年7月時点で次のような変更が公表されています。

  • 65歳超継続雇用促進コースの受給額が15万円〜240万円に変更
  • 継続雇用制度の導入について、希望者全員を対象とする制度に加え、対象者基準に該当する者を対象とする制度を支給対象に追加
  • 他社による継続雇用制度の導入について、定率助成から定額助成に変更
  • 「1事業主1回限り」としていた支給の取扱いを廃止
  • 定年引上げ等の実施に必要な専門家等への委託を求める要件を廃止

「1回限り」の取扱いが廃止されたことで、たとえば過去に定年を66歳に引き上げて受給した会社が、さらに70歳への引上げや定年廃止に段階的に取り組む、といった活用も検討しやすくなりました。ただし、適用条件の詳細は支給要領で必ず確認してください。

申請の流れと注意点

コースによって手続きは異なりますが、おおまかな流れは次のとおりです。

  • 支給要領・手引きを確認し、自社が要件を満たすか整理する(コースによっては事前の計画書提出が必要)
  • 就業規則や労働協約を改定し、定年引上げ等の制度を実施する
  • 定められた申請期間内に、JEEDの都道府県支部(高齢・障害者業務課。東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)へ支給申請する
  • 審査を経て、支給決定・振込

特に注意したいのが申請期限です。65歳超継続雇用促進コースでは、2026年7月時点で、制度の実施日が属する月の翌月から起算して4か月以内の各月の月初から15日までに申請する必要があるとされています。期限を1日でも過ぎると受け付けられないため、就業規則の改定と申請のスケジュールはセットで計画しましょう。就業規則の改定を伴う手続きは、社会保険労務士に相談しながら進めると安心です。

ポイント

本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説です。支給額・要件・申請期限は年度や改正によって変わるため、最新の内容は必ず厚生労働省および高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の公式サイトでご確認ください。

自社が使える制度か、まず一覧で確認してみましょう

65歳超雇用推進助成金はシニア雇用に取り組む会社にとって心強い制度ですが、雇用関係の助成金にはキャリアアップ助成金や人材開発支援助成金など、併せて検討したい制度がほかにもあります。自社の状況によって「どれが使えそうか」は変わるため、まずは候補を一覧で把握することが近道です。

補助金レーダーでは、会社の所在地・業種・従業員数・経営課題を登録すると、自社が対象になりやすい補助金・助成金をルールベースのスコアリングで一覧表示できます。対象になりそうな制度の確認は無料で行え、そのまま無料相談から行政書士・社会保険労務士などの専門家紹介まで進むこともできます。「シニア雇用の助成金、うちも使えるかも」と感じた方は、まず一度チェックしてみてください。

自社が対象の補助金、確かめてみませんか

業種・地域・課題を選ぶだけで、対象になりやすい制度を根拠つきで表示。登録・利用は無料です。

よくある質問

65歳超雇用推進助成金は、どこに申請すればよいですか?

ハローワークではなく、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の各都道府県支部(高齢・障害者業務課。東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)が申請先です。コースごとに申請期限や必要書類が異なるため、事前にJEEDの公式サイトで支給申請の手引きを確認しましょう。

従業員が数人の小さな会社でも対象になりますか?

会社の規模そのものよりも、雇用保険の適用事業所であることや、1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること(65歳超継続雇用促進コースの場合)などの要件を満たすかがポイントです。小規模な会社でも要件を満たせば申請できます。自社が該当するか不安な場合は、社会保険労務士などの専門家に相談すると確実です。

就業規則を変えるだけで受給できますか?

就業規則や労働協約の改定は必要な手続きの一つですが、それだけでは足りません。制度を実際に施行していること、対象となる60歳以上の被保険者がいること、高年齢者雇用等推進者の選任などの雇用管理措置を行っていること、期限内に申請することなど、複数の要件をすべて満たす必要があります。形だけの規定変更は審査で認められないため、実態を伴った制度づくりが大切です。

関連ページ