小規模事業者の定義とは?従業員数の数え方をわかりやすく解説
補助金の案内でよく目にする「小規模事業者」という言葉。じつは法律で定義が決まっていて、自社が当てはまるかどうかは「常時使用する従業員の数」で判定されます。この記事では、小規模事業者の定義と従業員数の数え方(役員・パート・家族はどうカウントするか)を、補助金に詳しくない方にもわかりやすく解説します。
小規模事業者の定義:従業員数だけで決まる
小規模事業者(法律上は「小規模企業者」)の定義は、中小企業基本法という法律で決められています。判定に使うのは「常時使用する従業員の数」だけで、資本金や売上高は関係ありません。業種ごとの基準は次のとおりです。
| 業種 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 その他 | 20人以下 |
| 商業(卸売業・小売業) | 5人以下 |
| サービス業 | 5人以下 |
たとえば従業員3人の小売店、従業員15人の町工場は小規模事業者に当てはまります。一方、従業員8人の飲食店(サービス業)は、この原則では小規模事業者に当てはまりません。
法人か個人事業主かは問われません。会社(株式会社・合同会社など)でも、個人事業主やフリーランスでも、従業員数の基準を満たせば小規模事業者に該当します。
ポイント
本記事は一般的な解説です。小規模事業者の範囲は法律や補助金ごとに少しずつ異なるため、最新の要件・募集状況は必ず各制度の公式サイト・公募要領でご確認ください。
制度によって範囲が変わる:宿泊業・娯楽業の特例
「サービス業は5人以下」が原則ですが、例外があります。小規模事業者支援法などでは、宿泊業と娯楽業は従業員20人以下まで小規模事業者として扱われます。旅館やホテルは、サービス業のなかでも比較的多くの人手が必要なためです。
この扱いは、小規模事業者向けの代表的な補助金である「小規模事業者持続化補助金」でも採用されています。持続化補助金での業種ごとの基準は次のとおりです。
| 業種 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
このように、同じ「小規模事業者」という言葉でも、根拠となる法律や補助金によって範囲が少し変わります。自社が対象かどうかは、使いたい制度の公募要領で必ず確認しましょう。
「常時使用する従業員」の数え方
小規模事業者かどうかの判定でいちばん迷いやすいのが、「常時使用する従業員」に誰を含めるかです。中小企業基本法における「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条の「解雇の予告を必要とする者」を指すと解釈されています。難しく聞こえますが、ポイントは「継続して雇っている人かどうか」です。
人数に含めない人
- 会社役員(社長・取締役など。ただし従業員と兼務する役員は従業員として数える場合があります)
- 個人事業主本人
- 日々雇い入れられる人(日雇い)
- 2か月以内の期間を定めて雇われている人
- 季節的な業務に4か月以内の期間を定めて雇われている人
- 試用期間中の人(14日以内)
パート・アルバイトは原則「含める」
見落としがちなのが、パート・アルバイトの扱いです。雇用形態の名前ではなく働き方の実態で判断され、期間を定めずに(または長期にわたって)継続して雇っているパート・アルバイトは、原則として「常時使用する従業員」に含めます。「正社員が4人だからうちは5人以下」と思っていても、長く働いてくれているパートさんを含めると基準を超える、というケースがあるので注意しましょう。
なお、日雇いの人でも1か月を超えて引き続き雇っている場合や、試用期間中でも14日を超えて雇っている場合は、解雇予告の対象になるため従業員数に含まれます。判断に迷う場合は、申請先の窓口(商工会・商工会議所など)や専門家に確認するのが安心です。
補助金ごとの細かい違いにも注意
小規模事業者持続化補助金では、申請時点で育児休業中・介護休業中・傷病による休業中・休職中の従業員は人数に含めない、労働時間・所定労働日数が通常の従業員のおおむね4分の3以下のパートタイム労働者は含めない、支店がある場合も会社全体(一つの法人・一人の個人事業主全体)で数える、といった細かいルールが公募要領に示されています。つまり持続化補助金では、短時間のパート・アルバイトは一般的な数え方より緩やかに扱われることがあります。また「常時使用する従業員」の考え方は、労働保険や他の法律では別の定義が使われることもあります。あくまで「その制度の要領に書かれた数え方」に従うのが基本です。
小規模事業者と中小企業の違い
小規模事業者は、中小企業のなかの「特に規模の小さい事業者」という位置づけです。中小企業の定義は「資本金または従業員数」のどちらかを満たせばよいのに対し、小規模事業者は従業員数のみで判定される点が大きな違いです。中小企業基本法での中小企業の基準(原則)は次のとおりです。
| 業種 | 中小企業(資本金 または 従業員数) | 小規模事業者(従業員数のみ) |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 または 300人以下 | 20人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 または 100人以下 | 5人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 または 50人以下 | 5人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 または 100人以下 | 5人以下 |
小規模事業者は自動的に中小企業にも当てはまるため、「中小企業向け」の補助金と「小規模事業者向け」の補助金の両方が選択肢になります。使える制度の幅が広いのが、小規模事業者の強みともいえます。
小規模事業者だと使える主な支援制度
小規模事業者に該当すると、規模の小さい事業者を対象にした支援制度を利用できる可能性があります。代表的なものを挙げます。
- 小規模事業者持続化補助金:販路開拓(チラシ、ホームページ、店舗改装など)の経費の一部を国が補助する制度。商工会・商工会議所の支援を受けて申請します。
- 商工会・商工会議所の経営指導:経営計画づくりや融資の相談を無料・低コストで受けられます。
- 小規模企業共済:経営者の退職金づくりを支援する共済制度で、掛金は所得控除の対象になります。
このほか、中小企業向けの補助金(IT導入補助金、ものづくり補助金など)も対象になり得ます。それぞれ公募時期や要件が異なるため、最新情報は中小企業庁や各制度の公式サイトで確認してください。
自社が対象になる制度を確認するには
「うちは小規模事業者に当てはまりそうだけれど、結局どの補助金が使えるの?」という段階になったら、制度を一つずつ調べるより、まず候補を絞り込むのが近道です。
補助金レーダーでは、所在地・業種・従業員数・経営課題などの会社情報を登録すると、対象になりやすい補助金・助成金をルールにもとづくスコアで一覧表示できます。無料で自社に合いそうな制度を確認でき、気になる制度が見つかったら、無料相談から行政書士・社会保険労務士などの専門家の紹介まで進めます。「従業員数の数え方が合っているか不安」といった細かい疑問も、専門家に相談しながら整理できます。まずは自社がどの制度の対象になりそうか、チェックしてみてください。