燃料サーチャージの計算方法と導入の手順【トラック運送業向け・2026年】
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結論:燃料サーチャージは「走行距離 ÷ 燃費 × 燃料の値上がり額」で計算します。 国土交通省の「標準的な運賃」(2024年3月告示)では、軽油の基準価格を1リットル120円とし、5円刻みで値上がり額を決めるルールが示されています。 今の軽油は国の補助(2026年10月15日〜21日は1リットル43.0円)で値段が抑えられていますが、補助が終われば一気に上がるおそれがあります。 この記事では、計算方法と導入の手順を、計算例つきでわかりやすく解説します。
この記事の要点
- 燃料サーチャージは「走行距離 ÷ 燃費 × 算出上の燃料価格上昇額」で計算する(国土交通省「標準的な運賃」)。
- 国土交通省が2024年3月22日に告示した標準的な運賃では、軽油の基準価格は1リットル120円、改定の刻みは5円。
- 軽油の値段が120円を下回ったら、翌月からサーチャージを廃止する。
- 2026年10月15日〜21日の軽油の国の補助は1リットル43.0円で、補助が終わればその分サーチャージが大きくなる。
- 同業者どうしや業界団体でサーチャージの金額を決めると、独占禁止法の問題になるとされている。
燃料サーチャージとは?
燃料サーチャージは、燃料の値段が上がったり下がったりしたぶんを、運賃とは別に受け取るしくみです。 国土交通省のガイドラインでは「燃料価格の上昇・下落によるコストの増減分を別建ての運賃として設定する制度」とされています。
- 軽油が基準の値段より上がったら、上がった幅に応じてサーチャージを受け取る
- 軽油が下がったら、そのぶんサーチャージも下げる
- 軽油が基準の値段を下回ったら、サーチャージはなくす
運賃そのものを毎回交渉し直さなくても、燃料の値動きを運賃に反映できるのがメリットです。 荷主にとっても、値上がりの根拠がはっきりするので納得しやすくなります。
燃料サーチャージの基準価格はいくら?(国のルール)
国土交通省の標準的な運賃では、軽油1リットル120円を基準価格とし、5円刻みでサーチャージを改定します。
国土交通省は2024年3月22日に「標準的な運賃」を見直して告示しました(令和6年国土交通省告示第209号)。 この中で、燃料サーチャージの計算方法が次のように決められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準価格 | 軽油1リットルあたり120.00円 |
| 改定の刻み幅 | 5.00円 |
| 改定のタイミング | 軽油の値段が5円の幅で動いたら、翌月から改定 |
| 廃止のタイミング | 軽油の値段が120円を下回ったら、翌月から廃止 |
| 端数 | 1円未満は切り上げ |
もともと基準価格は100円でしたが、この見直しで120円に上がりました。 運賃表のもとになる原価の燃料費も、100円から120円に変わっています。
ただし告示では、各社が自社の運賃を計算したときの燃料費を基準価格にするのが望ましい、ともされています。 120円はあくまで目安で、自社の実態に合わせて決めてかまいません。
燃料サーチャージの計算式は?(距離制と時間制)
計算式は「走行距離 ÷ 燃費 × 算出上の燃料価格上昇額」です。時間制運賃では、走行距離の代わりに平均走行距離を使います。
| 運賃の種類 | 計算式 |
|---|---|
| 距離制運賃 | 走行距離(km)÷ 車両の燃費(km/L)× 算出上の燃料価格上昇額(円/L) |
| 時間制運賃 | 平均走行距離(km)÷ 車両の燃費(km/L)× 算出上の燃料価格上昇額(円/L) |
「算出上の燃料価格上昇額」は、次の早見表で決まります。 今の軽油の値段がどの価格帯に入るかを見て、右の列の金額を使います。
早見表(基準価格120円の場合・一部)
| 調達している軽油の値段 | 算出上の代表価格 | 算出上の燃料価格上昇額 |
|---|---|---|
| 120円以下 | — | 廃止 |
| 120円超〜125円 | 122.50円 | 2.50円 |
| 125円超〜130円 | 127.50円 | 7.50円 |
| 140円超〜145円 | 142.50円 | 22.50円 |
| 150円超〜155円 | 152.50円 | 32.50円 |
| 155円超〜160円 | 157.50円 | 37.50円 |
| 160円超〜165円 | 162.50円 | 42.50円 |
| 180円超〜185円 | 182.50円 | 62.50円 |
| 200円超〜205円 | 202.50円 | 82.50円 |
代表価格は、価格帯のちょうど真ん中の値段です。上昇額は「代表価格 − 基準価格120円」で計算されています。 205円を超えた場合も、同じように5円刻みで上昇額を出します。
時間制で使う平均走行距離
| 車種 | 8時間制 | 4時間制 |
|---|---|---|
| 小型車(2tクラス) | 100km | 50km |
| 中型車(4tクラス) | 130km | 60km |
| 大型車(10tクラス) | 130km | 60km |
| トレーラー(20tクラス) | 130km | 60km |
燃費は、各社が自分で決めます。 ガイドラインでは、荷主別・車種別に燃費をつかんでおくことと、エコドライブを前提にした燃費を使うことが望ましいとされています。
実際にいくらになる?(計算例)
ポイント
ここからの計算例は、説明のための仮の数字です。 燃費4.48km/Lは、国土交通省が標準的な運賃の原価を計算するときに使った全国平均の燃費(小型車〜トレーラーの平均)です。実際には自社の燃費を使ってください。
例1:距離制で200km走る場合
- 条件:軽油の調達価格158円(155円超〜160円の帯)、燃費4.48km/L
- 算出上の燃料価格上昇額:37.50円
- 計算:200km ÷ 4.48km/L × 37.50円 = 1,674.1円
- 燃料サーチャージ:1,675円(1円未満は切り上げ)
例2:中型車の8時間制の場合
- 条件:軽油の調達価格158円、燃費4.48km/L、平均走行距離130km
- 計算:130km ÷ 4.48km/L × 37.50円 = 1,088.2円
- 燃料サーチャージ:1,089円
例3:国の補助が終わって軽油が43円上がった場合
今の軽油の値段には、国の補助(2026年10月15日〜21日は1リットル43.0円)が反映されています。 補助がなくなり、調達価格が158円から201円に上がったと仮定して計算してみます。
- 201円は200円超〜205円の帯:代表価格202.50円、上昇額82.50円
- 計算:200km ÷ 4.48km/L × 82.50円 = 3,683.0円
- 燃料サーチャージ:3,684円(例1の1,675円の約2.2倍)
サーチャージを決めていないと、この値上がりはすべて自社の負担になります。 補助が続いて値段が落ち着いている今のうちに、ルールを決めておくのがおすすめです。
燃料サーチャージはどうやって導入する?(5ステップ)
1. 基準価格を決める
ガイドラインでは、「運賃を届け出たときの燃料価格」か「荷主と契約したときの燃料価格」を基準にする方法が紹介されています。 標準的な運賃の120円を使う方法もあります。
2. どの軽油の値段を見るか決める
ガイドラインの例では、自社の「軽油ローリー価格(月平均調達価格)」を使っています。 スタンド価格か、ローリー価格か、カード価格かなど、何を基準にするかを契約で決めておきます。
3. 車両の燃費をつかむ
車種ごと、できれば荷主ごとの燃費を記録します。 給油の記録と走行距離から、実際の燃費を計算しておきましょう。
4. 荷主と話し合って契約に入れる
基準価格・刻み幅・改定と廃止のタイミング・計算式を書面にまとめ、荷主と合意します。 国のルールや今の軽油の値動きを資料として見せると、話が進みやすくなります。
5. 運賃の届出をする
ガイドラインでは、燃料サーチャージを導入したあとは、必要に応じて変更後の運賃を届け出る義務があるとされています。 届出先や書式は、地方運輸局などに確認してください。
同業者と金額をそろえてもいい?(独占禁止法の注意)
燃料サーチャージを入れるかどうか、いくらにするかを、各社が自分で決めることは問題ありません。 しかし、同業の会社どうしや業界団体で金額などを話し合って決めると、独占禁止法の問題になるとされています。
荷主との交渉で困ったときは、国土交通省の「トラック輸送適正取引推進相談窓口」も使えます。
燃料費そのものを減らすには?
サーチャージは値上がり分を受け取るしくみですが、燃料の使用量を減らせばそもそもの負担が小さくなります。 低燃費車両への入れ替えや運行管理システムの導入には、補助金を使える場合があります。
運送業で使える制度は「運送業が使える補助金・助成金まとめ」、軽油の補助の見通しは「軽油の補助金はいつまで?」の記事で解説しています。